Digital Labors

コラム

AIの答えをそのまま出さない:誤りを見抜く確かめ方

AIはもっともらしい間違いを書くことがあり、その誤りは仕組み上ゼロにはなりません。AIが間違える理由と、ミスやクレームを防ぐための確かめ方(別のAIに聞く、根拠を確かめる、人が最後に見る)をまとめました。

AIが作った文章をそのままお客様に送ったら、存在しない制度の名前が入っていた。AIがまとめた数字を会議資料に載せたら、元の資料と違っていた。AIを仕事で使い始めると、こうしたヒヤリとする場面に一度は出会います。

AIは、とても自然な文章で間違えます。だからこそ、AIの答えをそのまま外に出さない仕組みが必要です。ここでは、毎週の無料セミナーで取り上げた内容をもとに、AIが間違える理由と、誤りを見抜くための確かめ方をまとめます。

AIはなぜ間違えるのか

文章を作るAIは、膨大な文章を学習して、「この言葉の次には、この言葉が続きやすい」という確率をもとに、一語ずつ言葉をつなげて答えを作っています。たとえるなら、サイコロを何度も振って言葉を選んでいるようなものです。

ほとんどの場合は正しい文章になりますが、確率で選んでいる以上、まれにおかしな組み合わせが出てきます。元の情報が間違っている場合だけでなく、どこにも書かれていないことをAIが作り出してしまうこともあります。これを「ハルシネーション(幻覚)」と呼びます。

人は、自分の発言を振り返って「あれ、おかしいな」と気づくことができます。AIはこの振り返りの仕組みがまだ十分ではないため、誤りをゼロにすることはできません。これはAIの性質であり、どのサービスを選んでも同じです。

特に気をつけたい場面

誤りが起きやすいのは、次のような場面です。

  • 専門的な分野:法律・医療・お金などの分野では、一般的な話題より誤りが多くなりがちです。専門家の確認を前提にしてください。
  • 数字・日付・固有名詞:金額、期限、人名、会社名、制度の名前など
  • 最新の情報:AIが学習した時点より後に変わった制度や価格
  • 長く使い続けた会話:同じ会話の中で長くやり取りを続けると、前提を取り違えたり、判断が鈍くなったりすることがあります

毎日何十回もAIを使えば、そのうち何回かは誤りが含まれている、と考えておくのが現実的です。

誤りを見抜く3つの確かめ方

1. 別のAIにも聞く(セカンドオピニオン)

1つのAIだけに頼らず、ChatGPT、Gemini、Claude など別のAIに同じ質問をして、答えを比べます。あるAIの答えを別のAIに渡して、「この内容に誤りや根拠の弱いところがないか確かめて」と頼むのも効果的です。

答えが食い違ったところは、もう一度調べ直すべきところです。重要な判断や、自分では正しいかどうか判断できない内容ほど、この方法が役に立ちます。

2. 根拠を出させて、元をたどる

AIに答えを頼むときは、「根拠になった資料やページも示して」と添えます。示された資料を実際に開いて、本当にそう書かれているかを確かめます。

AIの答えが正しいかを、ニュースサイトや文献と照らし合わせて確かめる「ファクトチェック」の機能を持つサービスもあります(記事公開時点)。こうした機能を使えば、確かめる作業そのものにもAIの力を借りられます。

3. 最後は人が見る

社外に出す文章、お金にかかわる数字、お客様への約束は、必ず人が最後に確かめます。次のような簡単なチェック表を用意しておくと、確かめ漏れが減ります。

  • 数字・日付・金額は、元の資料と一致しているか
  • 人名・会社名・制度の名前は正しいか
  • 根拠が示されているか、その根拠を開いて確かめたか
  • 自社として言ってよい内容か(約束しすぎていないか)

「確かめる力」が差になる

これからは、誰もが同じAIを使い、同じくらいの品質の下書きを作れるようになります。そうなると、仕事の差を生むのは知識や作業の速さではなく、AIの出したものを正しく評価し、使いこなす力です。

AIの答えを確かめる人と、確かめない人。その違いは、ミスやクレームの数となって表れます。AIを使うほど、確かめる習慣が大切になります。

まとめ

  • AIの誤りは、仕組み上ゼロにはならない
  • 専門分野、数字や固有名詞、最新の情報、長い会話では特に注意する
  • 別のAIに聞く、根拠をたどる、最後は人が見る、の3つで確かめる
  • 確かめる作業にもAIを使えば、手間をかけずに精度を上げられる

使うAIの選び方は、お金をかける前に:無料で試せるAIでできることでもご紹介しています。社内で確かめ方のルールをそろえたい場合は、AI社員研修のカリキュラム例をご覧ください。

文:嶺本高志(デジタルレイバーズ代表)